日本機械学会連続講座「法と経済で読み解く技術のリスクと安全~社会はあなたの新技術を受け入れるか~」第3期・第4回 講演 小型無人機「ドローン」に求められる安全技術と安全制度
【開催日】
2015年10月9日(金)17.30~19.30
第3期・第4回 講師 鈴木 真二(東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授)
【第3期・第4回講演趣旨】
手軽に空撮等で活用されている小型無人機「ドローン」は、「空の産業革命」を拓くとして多くの分野で注目されているが、落下のリスク、悪用の防止など安全上の課題を解決することが実用化に向けて不可欠である。米国では2000年代後半に無人機の商用利用を原則的に禁止したが、大きな経済波及効果が見込めるとして、その運用ルールを検討中であり、安全を確保することを原則に、商用利用を認めている国もある。わが国では、小型無人機は農薬散布ヘリとして実用化されている反面、農業以外の活用に関してはきちんとした制度が定められていないのが現状であった。2015年4月に、首相官邸屋上に小型無人機が落下して以来、急ピッチでその利用ルールが制定されようとしている。過剰な規制は新技術の活用と発達を阻害することは歴史の教えることである。各国の動向を整理するとともに、我が国での今後の方針を展望したい。
【本連続講座の開催主旨】
福島第一原子力発電所の事故は技術の安全性に対する人々の信頼を失わせた.しかし,技術なしに現代社会は成り立たない.また,介護ロボットのような新技術は私たちの生活の質を向上させることが期待される.一方で,技術にはリスクがつきまとう.介護ロボットの誤作動で被介護者が死傷することもあり得る.社会に利益をもたらすとともに,リスクを内包する技術はどのような条件の下で社会に受け入れられるのだろうか.リスクが現実化したとき,技術者の責任は問われるのだろうか.今,新技術の開発に従事する技術者の胸に去来するこのような疑問に,現在の法制度のみならず,法と経済学,正義論なども視野に入れて,体系的に答えようという野心的な試みからこの講座は生まれた.技術のリスクと安全に関心のあるすべての技術者に是非聴講していただきたい.