第113回講習会「機械工学の基礎講習会」 動的設計と異常振動の診断・対策 (中級2日間コース)
日本機械学会中国四国支部では,従来の講習会を見直すことで支部会員および地域へより大きく貢献することをめざし新しい形式の講習会「機械工学の基礎講習会」を企画しました.中国四国地域の企業が社員教育等で利用できるような基礎的な講習会を永続的に実施することを目的とし,新入社員教育から経験を積んだ後の再教育に対応できるように,初級から上級までの機械工学の基礎分野の講習会を実施します.今回も振動工学(中級コース)の講習会を企画しました.企業の振動関係の研究部門と大学での教育の両方の経験を生かし,日本機械学会の振動工学データベース研究会や振動診断分野で活躍している2名の講師により,理論と実践の両面からわかりやすく解説します.参加者を少人数に絞り講師との質疑応答等を通して十分に理解できるようにします.
【対象】
振動の原因を考察したい人,振動を考えた設計を行いたい人,企業での教育など
【講師】
高知工科大学システム工学群 教授 井上喜雄
【日本機械学会機械力学計測制御部門長,元神戸製鋼所機械研究所振動音響研究室長】
岡山大学 産学官融合センター 客員教授 古池治孝
【ISO機械状態監視診断技術者(振動)認証委員会委員、振動技術研究会(v_TECH)企画理事、日本機械学会振動工学データベース研究会元主査】
【次第】
11月25日(木)
【午前】9:30~12:00
A.動的設計と異常振動の診断・対策の概要
動的設計における留意点,異常振動が発生した場合の対処の基本的な考え方を紹介する.
B.共振回避のための動的設計法
動的設計の基本である共振回避を実施するために必要な,固有値解析,強制振動解析,モード解析,感度解析などを紹介するとともに見通しをつけながら動的設計を行う手順を示す.
【午後】13:00~16:30
C.制振材料,ダンパー,動吸振器を用いた制振
共振回避が困難な場合に重要な役割を果たすダンピングによる振動低減法の概要と具体的な制振方法を例とともに紹介する.
D.減衰性能の解析法,最適化
制振材料やダンパーなどは.適切な場所,適切な大きさのものを付加しなければ,減衰性能は向上しないが,うまく設計すれば減衰性能は大きく向上する,そのための考え方,計算法などを具体例ととともに示す.
11月26日(金)
【午前】9:30~12:00
E.ロータダイナミクスの基本
主として、回転機械の強制振動,自励振動の特徴について述べ,実機の事例を紹介する.自励振動については,回転体の振動,流体関連振動を中心に紹介する.
F.異常振動の計測および診断法
多岐にわたる異常振動を診断し,原因を究明するための計測法,信号処理法,診断法について具体例をまじえて紹介する.
【午後】13:00~16:30
G.ロータのつりあわせ
回転体の強制振動の低減に重要な役割を果たす「つりあわせ」の基本的な考え方,およびフィールドバランスなどについて具体的な方法を紹介する.
H.異常振動の対策および実施例
異常振動の対策の基本的な考えかたを示すとともに実際に発生した各種の異常振動について,その原因究明から対策検討,対策実施までのプロセスの例を紹介する.