東北地区特別講演会 「ロボティクスと数理科学の融合」
2010年11月19日 | ロボティクス・メカトロニクス部門特別講演会主催No.10
【日時】
2010年11月19日(金) 16.00~17.50
【プログラム】
(1)16.00~16.50 「ヘビのロコモーションから学ぶ生物の適応的運動機能の発現原理 ~位相制御と筋緊張制御の有機的整合を可能とする自律分散制御則~」
講 師 加納 剛史 (東北大学大学院医学系研究科・助教)
内 容 自律分散制御は、生物が示す適応的な振る舞いの発現原理を考察する際に鍵となる概念である。しかしながら、自律分散制御の体系的な設計論は依然として確立しておらず、特に制御系と機構系の連関様式に対する設計論の構築は喫緊の課題である。そこで本発表では、ヘビのロコモーションに着目する。ヘビは地面の摩擦係数や斜度などの環境が変わっても、身体各部の位相関係やスティフネスを適切に変化させてロコモーションを継続することができる。このようなヘビの振る舞いのモデル化およびシミュレーションを通して、さまざまな生物の振る舞いに通底する普遍原理の解明を目指す。
(2)17.00~17.50 「共振現象から創発する行動制御」
講 師 手老 篤史 (科学技術振興機構さきがけ・専任研究員)
内 容 外部から周期刺激を与えると生物内部の隠れた振動子が共振した結果、単細胞生物であっても予測や記憶・想起といった知的活動を行う事ができるという研究がある。一方で生物は、歩行などの周期的な動作をする。これらは生物の内部状態に様々な影響を及ぼし、周期的な刺激となる。その結果、生体内の隠れた周期が発現し、生物の行動制御に影響を与える。本発表では、ホヤ精子の走化性や四足歩行動物の歩容遷移について、モデル方程式を用いて周期動作と内部状態の共振という観点から説明する。