第114回講習会 「福祉機器の現状と将来動向」
【協賛】
電気学会東海支部、精密工学会東海支部、自動車技術会中部支部、計測自動制御学会中部支部、日本材料学会東海支部、日本設計工学会東海支部、日本塑性加工学会東海支部
【趣旨】
日本における高齢化は世界に例をみない速度で進行、2007年には人口高齢化率が21%を超えた超高齢化社会となっている。このような社会を支える介護ロボットを中心とした、福祉機器も急速に開発され、進化してきている。本講習会では、これら様々な福祉機器の研究・開発現場の研究者、開発者より、現状と課題、将来動向を論じていただきますので、この機会に是非、最新の技術を学んでいただきたく、ご案内いたします。
【定員】100名
【題目・講師】
10:00~10:05 開会挨拶
東海支部支部長 名古屋大学 石田 幸男 氏
10:05~11:35 基調講演 『健康工学創成に向けて』
神戸大学大学院 教授 羅 志偉 氏
工学技術による人々の健康管理,健康増進,介護支援などを考える場合,「支援」の本質を追究する必要がある.工学「支援」による人間への負の影響も科学的に解明することが必要不可欠であり、科学的なエビデンスを確立することが重要である.「健康工学」の体系化を目指すには,広い視点から①身体運動の物理学と生理学を統一的に解明すること,②発生,発達と老化という人間一生のプロセスを理解すること.そして,③認知機能と運動機能との関係や、④心と生活環境との関わりを科学的に探ることが挑戦課題となる.結局,人間への健康支援の究極な目標は,決して単純に人間を「動かす:うごかす」ではなく,「促す:うながす」にすべきであろう.
11:40~12:40 『歩行補助ロボットの制御とリハビリテーションへの応用』
名古屋大学 エコトピア科学研究所 副所長・教授 大日方 五郎 氏
ロボット技術が福祉介護分野における効率化(経費の低減)に寄与できるかが問われている。人の機能や疾病後の状態は、きわめて多様であり、対象者の状態に合わせたテーラーメイドなアシストやリハビリテーションを行う必要がある。「歩行」は、生活にとって基本的な運動機能であり、健康管理にも大きな比重を占める。したがって、歩行が困難になった患者をロボットアシストにより歩行できるようにしたり、リハビリテーションを行うことが期待されている。しかしながら、歩行動作そのものが感覚系と運動神経系の高度な制御によって達成されているために、そのアシストも高度な制御が要求される。歩行補助ロボットの個人への適合やリハビリテーション過程におけるアシストとトレーニングのバランスの問題について、現状の技術レベルに基づいて制御とリハビリテーションの効果に関し解説します。
(12:40~13:30 昼食休憩)
13:30~14:30 『作業支援パワーアシストスーツの開発』
パナソニック社内ベンチャー企業 アクティブリンク株式会社
代表取締役社長 藤本 弘道 氏
服のように着るロボット、パワーアシストスーツの開発が様々なアプローチから為されています。作業支援だけでなく、リハビリテーションなどへの応用も研究され、昨今では脳科学的アプローチからの利用も検討されています。パワーアシストロボットの可能性についてアクティブリンクの開発事例を使い紹介をします。
14:35~15:35 『上肢支援型起立動作補助装置の開発』
岐阜大学大学院 教授 山田 宏尚 氏
起立ができればその他の日常生活は支障が無い高齢者が多い.そこで、起立姿勢解析による座面・肘掛けの最適化による最適な起立補助を行い、安心感を持って自力起立させる起立補助装置の開発を行った.また、本装置では、座面に加えて上肢を支援する機構を付加すると共に、その最適形状と駆動機構について検討を行った.本装置の開発を中心に当研究室で取り組んでいる人間支援機器の開発について概要を紹介します.
15:40~16:40 『ユーザ起点の電動車いす開発』
名城大学 講師 塚田 敦史 氏
ユーザとの関係性から電動車いすの開発を述べていく.ここでは,先端的な技術開発とは異なる視点から,既存技術群の複合的な適用で新しい”価値”を見いだした開発を事例を交えて述べ,福祉機器開発の将来動向を考えていきたい.
16:40~16:45 閉会の挨拶