「市場で勝ち抜く上流設計」~市場と技術力を結びつける設計の考え方と手法~
2011年2月23日 | 設計工学・システム部門講習会主催No.10
【協賛(予定)】
エネルギー・資源学会,化学工学会,空気調和・衛生工学会,計測自動制御学会,資源・素材学会,システム制御情報学会,自動車技術会,精密工学会,ターボ機械協会,電気学会,日本エネルギー学会,日本化学会,日本ガスタービン学会,日本計算工学会,日本原子力学会,日本建築学会,日本航空宇宙学会,日本工作機械工業会,日本工作機器工業会,日本材料科学会,日本設計工学会,日本船舶海洋工学会,日本燃焼学会,日本マリンエンジニアリング学会,日本フルードパワーシステム学会,日本流体力学会,日本冷凍空調学会,廃棄物資源循環学会,日本LCA学会
【趣旨】
景気の低迷が続き消費者の購買力が低下している現在,若者へのアンケートでは「特に買いたいものがない」というメーカーにとって深刻な状況になっています.その一方で新興国製造業の躍進は目覚しく,低価格製品が国内にも流れ込み,海外市場も席捲しています.さらに追い討ちをかけるように,製品安全に係わるリコール件数は急激に増加しています.製造現場の海外移転により,製造技術の低下や設計現場の距離が離れたこと,また消費者ニーズの多様化による設計周期の短サイクル化もこの一因だと考えられます.当たり前の品質を確保しつつ,魅力ある製品を低価格で迅速に提供することができなければ生き残れないのは周知の事実ですが,これらの活動を支援する設計技術をご存知でしょうか?「聞いたことはあるけれど使ったことはない」という方が多いのではないでしょうか.
本講習会は,自由度の高い,言い換えれば十分に時間をかけるべき設計の上流段階に着目して企画しました.下流の設計を効率的に進めるために,上流段階では何を検討し,どのような設計支援技術があるのかを解説します.企業で設計実務に携われている若手技術者はもとより,製品開発プロセスに問題を抱え,設計上流段階での設計力強化をお考えの皆様にも積極的に参加いただけるよう期待致します.
【題目・講師】
司会:増井 慶次郎((独)産業技術総合研究所)
10.00~10.45/はじめに
「設計工学と Design for X (DfX) 方法論」
設計の上流では,具体的な内容が定まっていない曖昧な状況のもとで,様々な要因を多角的かつ総合的に判断・決定して,下流の設計に的確な方針を与える必要がある.Design for X (DfX) 方法論はそのような設計を体系的に進めるための様々な考え方や手法の総称である.本講習では設計工学の視点から DfX 方法論の意義や形式を俯瞰する.
大阪大学 大学院 工学研究科 教授 藤田 喜久雄
10.45~11.45/第1部 市場ニーズを先取りし斬新な設計を生み出すための上流設計
「お客様の声を技術の世界へ展開」
お客様の世界を技術の世界に展開する方法論の一つに品質機能展開(QFD)がある.QFDは設計段階からの確実な品質保証のために体系付けられたが,設計品質を設定する方法論へと進化してきた.このQFDは第2世代のQFDであるが,QFDの原点から第3世代のQFDまでをまとめて報告する.この第3世代のQFDはe7-QFDとしてまとめられたものである.
玉川大学 経営学部 教授 大藤 正
11.45~12.30/「コンセプトの生成と選択のための体系的方法論」
設計の上流において優れたコンセプトを見いだすためには,様々な候補案を創り出し,それらの中から有望なものを選び出す必要がある. 本講習では,設計対象をシステムとしてみる立場から,前者のためのMorphological Chart と後者のための Pughs Method を取り上げ,それぞれの意義と内容について紹介する.
大阪大学 大学院 工学研究科 教授 藤田 喜久雄
12.30~13.30/昼食・休憩(60分)
13.30~14.30/第2部 アジアの低価格競争を勝ち抜く設計技術
「生産からリサイクル現場のための組立性・分解性設計」
組立しやすい設計による生産コスト低減や,分解しやすい設計によるリサイクルへの展開など,製品のライフサイクルにおける組立性,分解性への設計アプローチは不可欠といえる.本講習では,組立,分解のメカニズムを理解するとともに製品設計への方法論やプロセスについて事例を交えて解説する.
東京造形大学 サステナブルプロジェクト 教授 山際康之
14:30~15:30/「TRIZで矛盾の壁をブレークスルー」
TRIZ(トリーズ)は,技術革新のための問題解決の方法論である.現システムの機能と属性の分析から,技術的問題の根底にある矛盾を明確にする.「矛盾を明確にしたら,確実に解決できる」のが,TRIZの驚異の方法である.理想のシステムをも考えて,矛盾を克服した解決策を導き出す多様な方法がある.また,解決策の具体化には,科学技術の原理や事例を参照するTRIZソフトツールを活用できる.
大阪学院大学 情報学部 教授 中川 徹
15.30~15.40/休憩(10分)
15:40~16:40/第3部 不良を回避するための設計手法
「設計段階での仮想的Fault Tree Analysisによる高信頼性設計」
Fault Tree Analysis(FTA,故障木解析)を,製品の実働状態での故障の分析でなく,設計段階で仮想的に適用し,可能性のある故障とその原因を系統的,網羅的に分析することは,設計において事前に修正や対策を施すことを可能とし,製品の高信頼性が実現できる.本講習では,物理現象を記述する物理量の次元の整合性に基づき,設計段階での仮想的FTAを効率的に行なう手法およびソフトウェアを紹介する.
東京大学 大学院 工学系研究科 教授 村上 存
16:40~17:40/「製品製造・使用の変動要素に対応するRobust Design」
製品の開発においては,ライフサイクル全体に渡って価値の高い製品を設計するために,開発プロセスの上流で様々なばらつき要因を想定する必要がある.市場でのユースケースや材料・製造に起因する変動要素と製品機能との関係を把握する手法として,実験計画法をはじめとする統計的手法や感度解析が活用されているが,それらの概要を紹介する.
ソニー(株) モノ造り技術センター 担当部長 関 研一
【教材】
教材のみのご希望の方,また聴講者で教材を余分にご希望の方は1冊につき会員2 000円,会員外3 000円で頒布いたしますので,開催前に代金を添えて予約申込み下さい.講習会終了後発送いたします.
※講習会終了後に教材の販売はいたしません.入手ご希望の方はぜひ講習会にご参加下さい.