イブニングセミナー(第138回) 虫と遊ぶ -カミキリムシの多様性講座-
【開 催 日】
2011年5月25日(水)18.00~20.00
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
カミキリムシはカブトムシなどと同じ甲虫の仲間で,頭から後ろに伸びる長い触角が特徴である.体の大きさは2~200mm,普通は10~20mm程度の意外に小さな種類が多い.色彩や体形が多様で美しい種類も多く,昆虫類の中では意外に人気のあるグループである.世界全体で約25,000種,そのうち日本から約750種が知られている.ちなみに一文字違いのカマキリはバッタなどに近い仲間で,カミキリムシとは縁の遠い虫である.
カミキリムシは植物食で,幼虫は主に死んだ材組織を食べて成長する.一部の種類は農林業上の重要な害虫とされるが,多くは私たち人間に害益を及ぼさないただの生物多様性の賑わいの一員である.
講師はこのカミキリムシの魅力に惹かれ,それを材料にして分類学を中心に30年余研究を続けてきた.本セミナーでは,カミキリ学の基礎に始まり,その形態の多様性や風変わりな生活史などを紹介するとともに,新種発見談やフィールド調査の醍醐味,そうした研究にまつわる四方山話をご披露することで,参加者と“あまり役に立たない知”の共有をはかりたい.
虫好きの変人氏はもちろんのこと,恐い物見たさの普通の人たちも歓迎です.
講師:新里達也(技術士・日本甲虫学会会長)
【懇親会】
高田馬場駅前の土風炉(とふろ)にて,講師を囲んで懇親会を行います.会費3 000円程度.
【次回予定】
2011年6月29日(水)18.00~20.00
(仮題)雨音のしない雨傘―雨天時の視覚障害者のために―
講師:上田麻里((独)産業技術総合研究所)