一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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RC-D6

1. 分科会名称  『締結・接合・接着部のCAEモデリング・解析・評価システム構築研究分科会』
2. 主査名  服部敏雄 (岐阜大学 工学部 教授)
3. 設置期間  2009年4月~2011年3月(2年間)
4. 活動目的・内容
締結・接合部は、機器・製品の信頼性を確保する上で最も重要な部位であるにも関わらず、力の流れが複雑で力学解析が難しい、力学解析・プロセス解析と広範な技術を必要とするなどの理由から、大きな研究テーマとして取り上げてこられなかったきらいがある。しかしボンバルディア機の主客収納扉ボルト脱落のトラブルの後、チャイナ航空機のスラットヒンジボルト脱落・炎上事故を起こす。ナガシマランドジェットコースタ車軸ボルト脱落事故の後、エキスポランドジェットコースター車軸破損事故を起こす。エレベータブレーキ取付ボルトの緩みによる暴走事故の後、エスカレータモータ固定ボルトの破損、暴走事故を起こす。トレーラハブの事故での教訓があったにも関わらず、最近ゆりかもめ車軸ハブの同様な事故が繰り返される状況を見るに、これらの技術早期確立は機械エンジニアの社会的責任とも考えられる。このような視点に立って、これまで部門内研究会、分科会を通してこれら継手部の要素技術の確立に努めてきた。今後は,これらの成果をCAEシステムツールに落とし込み、実際の機器の設計・開発,品質保証の現場で使えるようにすべくRC-D分科会活動で展開していきたいと考え提案させていただく.具体的にはこれまで構築してきた締結・接合部のモデル作成・強度評価の両基盤技術下記の如く結びつけた一気通貫CAE設計システムの構築を行う。

ⅰ.締結・接合部のモデル化(等価剛性・減衰率)

例えば下図中央に示す3本の梁を4種類の締結方法で組み立てたとすると、この構造物に外力が加わった場合の各梁の荷重分担は、この4種類の締結部の等価剛性が分からないと正確に構造解析できない。動解析では同様に締結部の正確な等価減衰率が必要となる。本分科会では、個々の締結・接合部の詳細解析実験検証に基づいてこれら等価剛性、等価減衰率をデータベースとしてまとめる(下図左部参照)。


(図 一気通貫CAE設計システム・モデル)

ⅱ.解析結果の表示と強度評価

応力特異場;通常FEM解析の結果表示は応力分布の円等高線表示が主で、強度評価は単純にこの等高線の最大応力を使って疲労強度評価等を行っているのが現状である。しかし一般に最大応力が発生する複雑形状の表面の節点応力は積分点応力からの外挿が一番難しいところであり、結果的に多くの費用と労力を使いながら一番誤差の大きい応力値を用いて強度評価している事になる。従って本研究では応力分布を等高線表示のみでなく最大応力勾配線に沿っての応力分布グラフ表示を自動化し、これを用いて強度評価する設計システムを構築する。この最も象徴的な例が接着端、接触端部(焼嵌め端部)の応力特異場領域の解析結果表示、強度評価である。この場合には上図右部に示すごとく端部で応力は無限大となる応力分布をしておりFEMの最小要素寸法を小さくすればするほど最大応力は大きくなり従来の方法では汎用的な強度評価が出来ない。そこでこの応力分布が2つの応力特異場パラメータつまり、応力特異場の強さHと、特異性の指数λで表示できる事に着目し、この2つのパラメータを応力分布からベストフィット自動算出して強度評価する方法を開発する。
摩耗の考慮;締結部の接触端は永い稼動履歴の中でミクロなフレッティング摩耗が進行し、接触端部製作当初と異なる力学条件となるため、締結部の正確な強度・寿命設計にはこの摩耗の進行を考慮した力学解析が不可欠である。本分科会では接触解析と試験片実験検証に基づいて、この摩耗・破壊力学を用いたフレッティング疲労寿命評価法を確立する(上図右下部参照)。
具体的な活動スケジュールに関しては、RC-D分科会としては、2年を区切りと考えているが、最終的なデータベースシステムの構築、組み込みには企業現場技術者との検討・調整作業、時間が必要と考えられ3年目以降のRC分科会への展開も含めてスケジュールを記す。



5. 期待される研究成果 ・解析と実測を併用しての締結部等価剛性、等価減衰率の汎用的データベースの構築;これまで各ユーザが各自実験結果とCAE解析結果との比較・逆算から曖昧ながら独自のデータベスとして準備していたのが現状である。本研究の結果、だれが解析しても同一かつ正確な解が得られるようになる。
・任意方向応力分布表示;FEM解析結果の最大応力表示はどのCAEソフトにもあるが、任意の方向に沿った自動応力分布グラフ表示機能は初の試みである。これによりFEM解析結果を100%有効利用した強度評価が出来るようになる。
・応力特異場パラメータ;応力特異場パラメータを用いての接着強度、フレッティングき裂発生評価する手法は我々の独創技術であり、これにより従来最小メッシュサイズいかんで最大応力がいかにもなり強度評価屋を煩わしてきた問題が完全に解消できる。
・接触端部の摩耗を考慮したフレッティング疲労寿命評価;本システムは我々が長年解析と実験の積み重ねで得た独創的な成果でありこれをCAE設計ツールに組み込む意義は大きい。最近のトレーラハブねじ破損、ジェットコースタ車軸ボルト破損等、を一気に解明・対策できると考えている。
6. 参加負担金  15万円(年間)×2年
7. 問合せ先  分科会主査: 服部敏雄
岐阜大学 工学部 機械システム工学科
〒501-1193 岐阜市柳戸1-1
TEL: 058-293-2503  FAX: 058-293-2491
E-mail: hattori@gifu-u.ac.jp
分科会ホームページ  http://www.jsme.rcd.joint.or.jp