一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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No.212 No dog, no life
2022年度庶務理事 浅野 浩二[(株)総合車両製作所]

JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。本会理事が交代で一年間を通して執筆します。


2022年度庶務理事 浅野 浩二[(株)総合車両製作所]

No.212 No dog, no life

 


「JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。」ということで、私の身の周りの本当に些細なお話をしたいと思います。

私の実家では、私が小さいころから犬を飼っていました。学生時代や就職で一人暮らしをしていた時期でも、実家に帰ると犬が迎えてくれており、私の人生は犬とともにあったといっても過言ではないと思います。

結婚して独立してからしばらくは犬がいない生活をしていました(でも実家には犬はいました)が、育児がひと段落したころ、子供のために金魚鉢を買いに行ったペットショップでビーグルの子犬と出会いました。それを見た子供たちが熱烈に犬を飼いたいと懇願しましたし、妻も小さいころから実家で犬を飼っていたこともあり、結局そのビーグル犬を飼うことになりました。

私も妻も子犬を育てるのは大変なことであると承知していたつもりですが、案の定2人の子供を育てて一息ついたと思ったら、また人間の子供と同じくらい手間のかかる子犬の世話が待っていました。1日3回決まった時間での幼児(子犬)食(ドライの餌をお湯でふやかす)、おしっこやうんちの世話、家の中で遊ぶ時もケガに気を付けたり家財道具の保護など、本当に1日中目が離せない日々が続きました。また、特にビーグル犬は犬の中でも活動的であり、散歩に出ると最低でも1時間は歩かないと満足しません。

このように大変な犬の世話が続いていましたが、一方で犬を飼って分かったこと、良かったことがいくつかありました。

まず犬に話しかけると首をかしげながらこちらを見つめてきます。ものの本では犬は数百の人間の言葉を理解し、訓練により行動と結びつけることによって、例えば「お座り」や「お手」、「待て」などができるようになるそうです。うちの犬もそれほど多くの言葉を理解できていた訳ではないと思いますが、人間との生活の中で最低限必要な言葉に対する行動はできていましたし、よそ様に迷惑をかけるようなことはありませんでした。

次に人間の様子をよく観察しています。散歩しているときも、たまにご主人様の様子を確認するために見上げながら歩いています。家の中では家族間の雰囲気もいち早く察知し、険悪なムードの場合には、被害の及ばない場所に避難したり、時には仲を取り持つために間に入って可愛がってのポーズをしたりします。このあたりは空気の読めない人間より、ずっと雰囲気を察知する能力があると思いました。

感情が態度や顔に出で分かりやすく、うれしいときはキラキラした目で飛び掛かってくるし、悪いことをして怒られると耳としっぽが垂れて目を合わせようとしません。外出から帰った時に玄関まで顔を見せに来ない場合は、大抵は悪さをしている時です。

また子供が小さい頃の情操教育にも大変貢献してくれました。子供が嫌なことがあって塞ぎ込んだりしていると、そっとそばに寄ってきて何もせずにずっと寄り添っていてくれていました。おそらく子供の心も和んでいたものと思います。一緒に散歩したり、外出した時も子供たちの良い遊び相手となってくれました。

長時間の散歩も普段運動をしない私にとっては、良い運動の機会となっていました。散歩の速度も速く、1kmあたり11~12分のペース(約5~5.5km/h)で毎回1時間以上は歩いていましたので、運動不足解消、ダイエット効果にもなっていたと思います。このように犬を通した生活は、健全な子供の成長、家族の絆、明るく楽しい生活をもたらしてくれました。

こじつけかも知れませんが、犬との付き合いから日頃自分が後輩に対して考えている、あるいは指導している社会人、技術者として心に留めておくべきことを再認識しました。

  • KY(空気の読めない)人間になるな(自分の世界に没頭して周囲の状況を見誤るな)
  • 人の話をよく聞け(議論の流れを認識し論点を明確にして分かりやすく発言せよ)
  • 人の反応を良く感じろ(自分の手元資料ばかり見て説明するな、人の顔を見ながら説明せよ)
  • 安定した人間関係、コミュニケーション醸成を心掛けよ(無理筋でも普段の付き合いから目途がつくことあり)
  • やはり体が資本、日ごろの運動を心掛け健康管理(言わずもがな・・・)

そのビーグルは12年ほど生きて、2年ほど前に癌で亡くなりました。癌だと分かった時には末期症状であり、余命は長くても1~2か月と診断されていました。残り少ない生活を充実したものとするために、できるだけ一緒に過ごす時間を多くし、外にもできるだけ連れ出して色々なものを見せてあげました。私もちょうどそのころから自宅でのテレワークが多くなってきたので、一緒にいる時間が多く作れたのがせめてもの救いでした。結局、動物病院の先生はじめ皆様の親切な治療のおかげで、半年以上も生きながらえることができました。私が宿泊出張の日の夕刻に様態が急変したと連絡があり、テレビ電話を通して最後のご挨拶をしました。本人(犬)には聞こえていたのかどうか分かりませんが・・・。翌日の朝に息を引き取ったそうですが、最後には天井を見て「ワン」と一鳴きしていたそうです。

このような経験の後ペットロスが続き、あまりの悲しさに妻とも「二度と犬は飼わない」と話していましたが、それから2年経ち、たまにペットショップで犬を見ているうちに、また犬との生活の欲求が高まり、結局昨年暮れに我が家で2代目のビーグル犬(妻からすれば実家で飼っていたビーグルから3代目)を家に向かい入れました。

私も還暦近い歳となりますが、これから最低10年は犬の面倒を見なくてはなりません。(というより犬に面倒を見てもらうことになるかもしれません・・・?)健康に気を付けて長生きしなくてはなりませんね。今は十数年前の子犬の世話同様目の離せない忙しない毎日となっていますが、家族全員で子(犬)育てを楽しんでいます。

やはり我が家(私)には犬がいることが必要なのだと思う今日この頃です。まだまだ小さくて外での散歩はもう少し先ですが、外に出られるようになったら元気に散歩をしよう! よろしくね、ポポ!

(写真)我が家の愛犬「ポポ」