「荷重・耐力係数法による信頼性評価」
【趣 旨】
機械構造物の機能を実現するにあたって,安全の確保が極めて重要であることはいうまでもない.判断するために必要な項目が完全に明確であれば,安全であることを明確に宣言できる.しかし,実際には明確でない要素が多数存在しており,その中で安全の程度を表現することが求められる.材料力学で安全確保のために用いられる安全率の取り扱いは,若干のあいまいさに目をつむれば,簡便で便利な手法であるといえる.ところが通常用いられる決定論的安全率のように画一的取り扱いでは,運用上のさまざまな課題が表面化しつつある.本来,安全裕度は強度や荷重のばらつきと限界となる条件により定量的に示しえるものであるが,経験的安全率ではその導出根拠が不明確であるが故にとかく安全率が過大となりがちである.このような不合理を解消するための有力な確率論的な手法が荷重・耐力係数設計法(LRFD法)である.電力,石油化学,ガス等のプラントをはじめとしてクレーン,土木・建築など多くの産業分野でLRFD法のニーズが高まっている.このような状況に鑑み,本技術セミナーでは,LRFD法の基礎となる限界状態関数法から部分安全係数,各産業分野への適用事例まで解説を行う.なお,本セミナーは材力部門内に設置されている通称LRFD分科会が母体となって開催するものである.
【題目・講師】(司会:酒井信介、浅山泰)
9.30-10.00/(1)信頼性設計の基礎
信頼性設計法の概要と導入の意義について解説する.
東京大学 酒井信介
10.00-10.40/(2)限界状態設計法の考え方―1.限界状態関数
信頼性評価に当たって用いられる限界状態関数について、その基本的な考え方を解説する.
日本原子力研究開発機構 岡島智史
10.40-11.20/(3)限界状態設計法の考え方―2.破損確率評価の代表的手法
限界状態関数に基づき信頼性評価を行う代表的手法について、一部デモンストレーションを交えて解説する.
労働安全衛生総合研究所 佐々木哲也
11.20-12.30/(4)部分安全係数の基本
LRFD法で用いられる部分安全係数の計算手法を、計算例を交えて解説する.
テプコシステムズ 町田秀夫
13.30-14.30/(5)設計と維持を含めた安全裕度
設計のみならず、維持を合わせて考慮した場合の信頼性の考え方について解説する。
日本原子力研究開発機構 浅山泰
14.30-15.40/(6)配管減肉の信頼性評価
配管減肉分野における適用・規格化活動について解説する。
住友化学 戒田拓洋
15.45-16.55/(7)建築分野の限界状態設計
建築分野におけるLRFD法の規格化事例について解説する。
東京大学 高田毅士
【定 員】
60名
申込み先着順により定員になり次第締め切ります.
【聴講料】
会員15 000円,会員外25 000円,学生員2 000円,一般学生3 000円
いずれも教材1冊分代金を含みます.開催日の10日前までに聴講料が着金するようにお申し込み下さい.以降は定員に余裕がある場合,当日受付をいたします.なお,聴講券発行後は取消しのお申し出がありましても聴講料は返金できませんのでご注意願います.
【申込方法】
本会ホームページhttp://www.jsme.or.jp/kousyu2.htmよりお申し込みの上,聴講料をご送金下さい.FAXによるお申し込みの場合には,行事申込書http://www.jsme.or.jp/gyosan0.htmに 必要事項を記入し,FAX〔03-4335-7618〕までお送り下さい.
【教 材】
教材のみご希望の方には,1冊につき会員2 000円,会員外3 000円にて頒布いたしますので,代金を添えてお申し込み下さい.講習会終了後発送いたします.なお,本講習会終了後は教材を販売いたしません.入手ご希望の方は本行事にご参加いただくか,または上記と同様の方法にて開催前に事前予約申込みをお願いいたします.