一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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No.167 メカジョ未来フォーラム

2017年度(第95期)広報情報理事
宮崎 恵子[海上技術安全研究所 副系長]


私は、普段、交通・物流部門で活動をしています。3月2日(金)には、交通・物流部門の交流会が、私の職場である海上技術安全研究所(以下、海技研)で開催されました。海技研には、200人弱の研究者がおり、約1割が女性です。交流会は、話題提供、実験施設の見学会、懇親会で構成し、船舶のエンジンからの排出物質や船体塗料からの溶解物質に対する環境分析装置の説明を、同僚である女性研究者が担当しました。操船シミュレータでの海難事故再現や事故解析については、私が説明し、後の5カ所(エンジン設備、深海水槽、変動風水洞、実海域再現水槽、風洞大型水槽、400m試験水槽)は男性研究者による説明でした。妥当な男女比率であったと思います。

参加者はそれぞれ独自の関心事項から参加されていたのですが、結果として、産官学から年齢層も幅広く、専門も、鉄道、自動車、二輪車から、戦車や昇降機械までと広い分野となっていました。専門分野が違うと、例えば、一言で風洞実験と言っても、多々異なる点がある一方、それぞれの研究所の風洞設備を借りて、そこでしかできない試験をやりたいとか、同じ試験を別の設備で検証したいといった話しが具体的に出るなど、様々な点で話題がはずんだ交流会となりました。このように、参加者に多様性が見られた交流会でしたが、女性の参加者は残念ながらありませんでした。

1月号の機械学会誌の特集「新たな価値創造のために~女性活躍と多様性の推進~」では、様々な組織での女性研究者・技術者の活躍が紹介されていました。このJSME談話室「き・か・い」コラムの2月号では、鈴木真二副会長が、NASAの宇宙開発を支えた“語られなかった”3人の女性を描いた映画「Hidden Figures」(邦題「ドリーム」)とその原作を、ご自身の経験とともに、紹介しておられました。そして、3月は、12日(月)に、メカジョ未来フォーラムが明治記念館で開催されます。このフォーラムでは、理系の女子学生が、仲間やロールモデルに出会え、自分の将来の姿が思い描ける機会になりますので、是非、多くの方にご参加いただきたいです。まだまだ少ない女性技術者を応援しよう、新たな価値創造に向け多様性を推進するために女性技術者を増やそうという、多くの活動は、女性の一員としてありがたいことですし、自分もそのような活動の一端を担わなくてはという思いも新たにしています。

そこで、このコラムでは、本を紹介したいと思います。ライターの堀越英美さんが書かれた「女の子は本当にピンクが好きなのか」です。Pヴァイン株式会社から2016年3月14日初版発行ですが、今の女性を取り巻く“見えないけれど何となく感じる窮屈さ”について、ピンクという色が表す気分や象徴、色にまつわる事柄の、国内外の社会的変遷を広く紹介し、考察することで、解決策を模索する内容となっています。学術書ではない社会学の読み物に分類されると思いますが、題名から受ける印象とは異なり、かなりの部分が、女子の理系進学、理系就職を勧めるような内容となっているのです。例えば、第二章では、理系教育を意識した、女児向け組み立て玩具の登場とその反響が紹介されています。さらに、第三章はタイトルにもずばり“リケジョ”が使われ、「リケジョ化するファッションドール」というタイトルのもと、ステレオタイプがもたらす問題点と、幼児から始まる女性技術者への道を明るく照らすような内容が盛り込まれています。

著者の堀越さんは1970年代前半生まれです。この本の中で、堀越さんは、“高校は学区トップの公立進学校だったが、地方在住で、働く女性といえば、学校教師か看護師、お店屋さんしかいない状況で理系のロールモデルがなく、数学が得意だったのに、文理選択で文系を選び、大学は文学部に進学したが、就職活動でその過ちに気づいた(p.143-146要約)”と述べていて、これが問題意識の一つになっています。これに対して、「メカジョ未来フォーラム」は、解決策の一つになるのではないかと思いました。昨年から始まった「メカジョ未来フォーラム」は、現役の理系女子学生や、今、女子学生を是非採用したいと考えてくださっている会社のための行事であるのはもちろんですが、それだけではなく、このような活動があることを広く社会に知ってもらい、小中高学生とそのご両親に、女子にも男子にも開かれた理系の道があることを届けることも大事な役割だと思います。多様性のある社会のためにも、また、理系が好きな女子達男子達がのびのびとその持ち味を伸ばせるという個人の幸せのためにも、理系の面白さや将来の姿の広報は重要なことだとの思いを強くしています。