No.178 私が考える機械学会の魅力について
2019年度広報情報理事 田中 真美[東北大学 教授]
JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。本会理事が交代で一年間を通して執筆します。
2019年度(第97期)広報情報理事
田中 真美[東北大学 教授]
機械学会の広報情報担当理事を昨年度から担当させていただいております。私は機械学会に大学院の修士1年の時に学部での卒業研究の内容を機械学会論文集C編に投稿することになり入会しました。それ以来ずっと機械学会の会員ですが、理事になって知ったところによりますと、学生の時に学生会員になってもその後正員で学会での活動を続けているという方はあまり多くないということです。それはなぜでしょうか? 機械学会の魅力が少ないのでしょうか?
私が学生や助手の時には、インターネットの発達は現在の状況と異なり、欲しい情報は現地に足を運び手に入れるものという感覚で講演会や講習会に積極的に参加しました。現在機械学会には部門が22(推進・専門会議を含めると24)もあり、本当に幅広く展開されており、興味がある分野を色々と学ぶことが出来ます。私自身これまで、ロボティクス・メカトロニクス部門、情報・知能・精密機器部門、機素潤滑設計部門、機械力学・計測制御部門、バイオエンジニアリング部門、などの講演会や講習会などに出席し、欲しい情報を色々入手し研究に生かして来ました。また分野横断型で構成されている医工学テクノロジー推進会議もありそちらでは委員長も務めさせていただきましたが、日本医工ものづくりコモンズの日本機械学会の窓口としての役割や医工学関連との他学会との共同企画なども行うことができ、本当に幅広く学べる場であると感じました。このように機械に関連するもの全てを集約し、学べる機会を種々提供しているということが、機械学会の非常に大きな強みであり魅力であると思います。
特に、年次大会は部門にしばられず一堂に会する機会であり、参加される方々には得られる情報は大変充実したものになると思います。今年度は、秋田で行われますが、例年と異なり部門融合のオーガナイズドセッションを拡大することや、学生の発表はポスターセッションに集約することで横断性と融合性が強化されています。機械学会の魅力を堪能するためにも、自分の専門分野だけではなく、少し広く見渡して参加することが出来る仕組みになっております。また、この年次大会では私ども広報情報理事が担当する企画として、「未来へのブレークスルー −機械工学が支える日本の技術−」を準備しています。この企画では、2018年度学会賞(技術)受賞社の担当の方に、受賞技術や開発の背景を講演してもらいます。具体的には、受賞PR動画の紹介や研究開発のインパクト、開発における苦労や問題解決のお話、また機械工学の魅力や重要性をお話ししてもらう予定です。学生等の参加者に最新技術の魅力や産業界における機械技術者の役割を学んでもらえる機会になることを狙っていますが、一般の方々が見ても大変面白いものであると予想されます。そのほか様々な特別企画等が用意されていますし、学会誌でも毎回秋田の特集がされており、皆様と秋田の年次大会で共に学べることを期待しております。さらに、多くの先生が発表よりも何よりも大事であるという、交流会や懇親会も沢山あります。参加者のネットワーク形成の一助になると確信しています。
さて、さらなる機械学会の魅力向上を考えますと会員へのサービスの充実が挙げられます。昨年度講習会のライブ配信について流体工学部門の方達に試験を実施していただき、概ね良好であることが確認でき、今年度から皆様に利用していただけるようになっていきます。先日この件が全体理事会で紹介されましたが、中国四国支部ではすでにそのような取り組みは進んでいるとのことでした。やはり必要に迫られそのような取り組みが進んでいくのだなと実感いたしました。このようなライブ配信を利用した講習会では、各開催地に集まられる方だけに留まらず、広く地方の方でも同時に受講の機会が得られるようになります。また特別員の皆様にも会社単位などで講習会を勉強に利用していただけると良いのではないかなとも考えております。
2018年度は広報情報担当理事としてメカジョ未来フォーラムの担当をさせてもらいました。現在、【PRIZE とっちゃいました】のページにて女性未来賞の方々のインタビューの様子を配信しています。彼女たちの言葉に私も身の引き締まる思いになり、受賞者の方々の今後の活躍を感じられるものとなっております。是非皆様もご覧ください。また前述の2018年度の各種学会賞の動画も現在依頼をしておりまして、随時更新し配信していくことを考えています。余談になりますが、【PRIZE とっちゃいました】の「とっちゃいました」は「賞を取った」と、私達がその様子を「撮った」という意味からつけました。広報情報理事会でこのタイトルを決める時にふざけすぎかなとなったところ、森下会長から「PRIZE」を付ければとの助言を受け、このようなタイトルに落ち着きました。
などなど、私の考える機械学会の魅力やサービス向上のための施策などについて広報情報理事の業務に絡めてお話しさせていただきました。魅力を感じるためにはまずは参加していただくことが大事かと思います。発表でも聴講でも是非積極的にご参加いただければと存じます。これからも機械学会の魅力向上やその発信、サービス向上に努めてまいります。(談話というタイトルだったのですが、挨拶っぽくなってしまいました・・・。)