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2018/1 Vol.121

【表紙の絵】
「心ウキウキゆかいな
メロディーメーカー」
吉川 知里 さん(当時9 歳)

前にテレビで見た“日本の町工場で作られたネジや部品が世界で使われている”という話をきっかけに考えていた機械です。
ドアの開閉の力で歯車が動き、その時その気分にあった音楽が流れてきます。
朝は1 日を元気に過ごせるようなやる気の出る音楽、夜は1 日の疲れをとってくれる優しい音楽、
悲しいことがあった時は、なぐさめてくれます。
荷物やお手紙が届くとお知らせチャイムが流れます。

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おもしろイベント報告

センシング技術によるスポーツの運動計測体験教室

廣瀬 圭〔(株)テック技販、SHD 部門企画委員〕

センサを使ってスポーツの動きを測る!

フォースプレートやカメラは、スポーツの計測だけでなく、歩行やバランスの評価などでも用いられることが増えている。さらに、昨今では「慣性センサ」を用いた運動計測の取り組みも注目されている。「慣性センサ」は、スマートフォンにも搭載されており、多くの人が日常的に使用しているセンサである。慣性センサを搭載したセンサシステムは、着脱が容易であることから「ウェアラブモーションセンサ」と呼ばれており、身体部位(腕や腰)や用具に取り付けるシステムも開発されている。

センサを使用して運動を計測してみたいが、計測するにはどのようにすればいいのか? どのような信号が出てくるのか?信号をどう解釈・分析するのか? などの疑問について、研究者・技術者による解析、スポーツの運動計測体験を通して知る目的で、本教室を企画・開催した。当日は、高校生・大学生から企業の技術者・大学教員まで幅広く参加いただいた。

モーションセンサ・フォースプレートの講義

本教室では、ウェアラブルモーションセンサとフォースプレートを使用した運動計測体験を実施した。体験の前に研究者・技術者によるモーションセンサとフォースプレートの講義が行われた。講師には(株)テック技販の近藤 亜希子博士、足立 渡 博士を招き、近藤氏には、慣性センサは何を計測しているのか? や、どのような解析方法があるのか?など詳しく説明いただいた。足立氏には、フォースプレート測定原理から使い方について講演していただいた。

講義①:モーションセンサについて(左)
講義②:フォースプレートについて(右)

体験の流れを説明中

スポーツの運動計測体験

講義を受講し知識を習得した後に、体育館に移動し、スポーツの運動計測体験を実施した。体験できる計測種目として、①野球・バッティング(素振り)、②テニスサーブ、③バスケット(フリースロー)の3 種類を準備した。すべての種目でモーションセンサを身体部位に取り付けて運動計測を行い、①と③ではフォースプレートも使用することによって、床反力の計測も同時に行った。一部トラブルはあったものの、参加者全員が希望する計測すべてを時間内に行った。

計測体験①:バスケットボール(左)

計測体験②:野球・バッティング(右)

センサ情報の分析

再び講義室に戻り、PC を使用して取得したセンサ情報の分析を行った。講師の近藤氏より取得したセンサ情報の解釈、分析方法についての説明が行われ、センサ情報のグラフ化やどのようなことがわかるのか? について参加者と一緒に分析した。一部データのやり取りなどで時間がかかることもあったが、予定時間内にすべての内容を終了した。センサを用いることにより、さまざまな分野・環境での計測が行えるようになる。また、さまざまな解析を展開することができるため、まだまだ未開拓の部分が多い一方でたくさんの可能性を秘めている。センシングによる運動計測・解析がより発展していくことが期待される。

廣瀬 圭〔(株)テック技販、SHD 部門企画委員〕

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